CPSC(米国消費者製品安全委員会)の eFiling(電子申告)義務化対策【eBay輸出】
2026年7月8日から施行される CPSC(米国消費者製品安全委員会)の「eFiling(電子申告)義務化」により、アメリカ宛ての規制対象の消費者製品について、事前に製品安全書類の提出が必要となる予定です。
直送(FedEx, DHL, UPS, 日本郵便など)で送る安価なおもちゃやアパレル製品であっても、規制対象品であれば電子申告が必須となります。
配送業者を利用してアメリカに発送する場合も、当該書類の提示を求められるようになります。
eBayからも「新たな米国消費者製品安全委員会(CPSC)の要件の影響を受ける可能性のある商品を販売されているセラー」宛てに、事前準備を促すメールが届いているかと思います。
必要書類のデータ不足や不備があると、配達不可やアメリカでの販売権限の停止やアカウント全体の制限など、ポリシーに基づく措置が取られる場合があります。
詳しく解説していきますので、2026年7月8日(水)までに準備しましょう。
目次
米国消費者製品安全委員会(CPSC)とは

米国消費者製品安全委員会(CPSC: Consumer Product Safety Commission)は、1972年に設立されたアメリカ合衆国の独立政府機関です。
その主な目的は、「消費者が使用する製品による負傷や死亡の不当なリスクから公衆を保護すること」にあります。
おもちゃから家電、家具に至るまで、数千種類もの消費者製品を監視していますが、自動車(NHTSA管轄)や食品・医薬品(FDA管轄)などは対象外となっています。
主な活動内容
CPSCの具体的な活動は多岐にわたりますが、主に以下の5つの柱で構成されています。
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製品リコールの実施と監督
欠陥のある製品や危険な製品が市場に出回った際、企業と協力してリコール(自主回収)を発表し、消費者への返金、修理、または交換を促します。
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安全規格の策定
製品の安全性を高めるための「強制規格(法律で定められたルール)」の制定や、業界が自主的に定める「任意規格」の策定支援を行います。
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製品事故の調査とデータ収集
全米の救急外来などから収集されるデータ(NEISS: 全国電子負傷監視システム)を分析し、どのような製品が、どのような状況で事故を引き起こしているかを調査します。
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消費者への啓発活動
ウェブサイト(cpsc.gov)やSNSを通じて、リコール情報や季節ごとの安全対策(プールの安全、火災予防など)を発信し、消費者の安全意識を高めます。
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法律の執行と制裁
安全基準に違反した企業や、製品の欠陥を報告しなかった企業に対して、罰金の科罰や製品の販売禁止などの法的措置をとる権限を持っています。
対象となる商品
CPSC(米国消費者製品安全委員会)が定める規制は、製品の種類や対象者(子ども向けか一般向けか)によって多岐にわたります。
冒頭でお伝えしたように、アメリカ宛ての特定の子ども向け製品、特定のアパレル製品、およびその他規制対象となる一般商品を出荷する場合は輸入前に製品安全書類(CPC:子ども向け製品準拠宣言書とGCC:一般適合証明書)の提出が必要になります。
CPCとGCCは、自ら作成(自己宣言)する書類です。
作成のためには、製品が米国の安全基準を満たしていることを証明する「試験結果」が必要になります。
製造業者に連絡して「試験報告書」をもらえたとしても、それを元に自分で証明書(CPC/GCC)を作成することになります。
現在扱っている商品が「試験免除(Exempt)」に該当するか、あるいは「試験が必要」なものかを確認することから始めましょう!
eBayの出品内容を確認し、対象年齢をチェックしましょう。
子ども向けに設計または販売されている商品は「12歳以下対象」と明記し、該当する商品ごとに有効なCPCを取得して保有する必要があります。
コレクターズアイテムや子ども向けではない商品については、「13歳以上対象」など明確に区別してください。
公式ツールで規制を調べる
製品ごとに適用される規制(16 CFR…)を特定するには、CPSCが提供しているRegulatory Robot(レギュラトリー・ロボット)」という公式ツールを使うのが最も確実で効率的です。
このツールは、質問に答えていく形式で、必要な試験や証明書(CPC/GCC)を自動的にリストアップしてくれます。
Regulatory Robot の使い方
1:公式サイトにアクセス
2:製品情報を入力(英語)
・最初に「レポート名」を適当に決めます(例:Test_Product_01)
・規約に同意して進むと、製品カテゴリ(おもちゃ、衣類、家具など)の選択肢が出てきます。
3:質問に回答する
・「12歳以下の子供向けか?」「素材は何か?」「電源は使用するか?」といった質問に Yes / No で答えていきます。
4:結果(規制コード)の確認
・最後に、その製品に適用されるすべての規制(例:16 CFR Part 1610 など)が一覧で表示されます。
Chromeなどのブラウザ翻訳を活用しましょう。
結果画面で出てくる 「16 CFR 〇〇」 という数字さえ特定できれば、そのあとの書類作成は可能です。
Regulatory Robot の操作が難しい場合は、JETRO(日本貿易振興機構)のサイトの貿易・投資相談Q&Aは具体的な品目ごとの規制や手続きが、日本語で非常に分かりやすくまとめられています。
サイト内の検索窓に「CPSC」や「子供向け製品 輸出」などKWを入力してください。
以下は抜粋になりますが、Q&A形式で詳しく掲載されています。

JETRO>貿易・投資相談Q&A>子供用玩具を輸出する際の留意点(CPSC/CPSIA全般)
特定の子ども向け製品(CPCが必要なもの)
12歳以下の子ども向け製品(おもちゃ、衣類、家具など)にはCPCが必要です。
CPCが必要な商品に関しては CPSC:第三者試験および子供用製品証明書の取得を要求する規則に掲載されているので確認してください。
細かくて申し訳ないのですが、表を掲載しておきます。
ワンクリックで拡大できますので、参考にしてください。

*このリストは変更・追加になる場合があるので、上のリンクから最新情報を確認してください。
Children’s Product Certificate(CPC)子ども向け製品準拠宣言書
CPSC:子ども用製品証明書からの引用になりますが、以下の条件を満たす必要があります。

該当する各商品ごとに有効な CPCを取得、つまりCPSCが認定した試験機関(CPSC-accepted lab)で製品テストを受けることが義務付けられています。
メーカーに問い合わせて試験報告書がもらえない場合は自分でテスト依頼をしなくてはいけませんが、日本国内にも認定ラボは存在します。
CPSC公式サイトの Lab Search で検索可能です。
ただし、すべてのラボがすべての試験に対応しているわけではないので、適用される具体的な規制番号を把握しておきましょう。
目的の試験項目が認定範囲に含まれていない場合もあるので、問い合わせをしておくとスムーズです。
特定のアパレル・一般商品(GCCが必要なもの)
特定のアパレル、子ども向けではない一般消費者製品にはGCCが必要です。
芝刈り機、自転車、ヘルメット、携帯用燃料容器などが含まれます。
GCCが必要な商品に関してはCPSC:一般適合証明書(GCC)を要求する規則 – 一般使用/非児童製品に掲載されています。

*このリストは変更・追加になる場合があるので、上のリンクから最新情報を確認してください。
General Certificate of Conformity(GCC)一般適合証明書
CPSC:一般適合証明書からの引用になりますが、以下の条件を満たす必要があります。

GCCの場合、CPCとは異なり「認定ラボ」での試験は必須ではありません。
自社での試験や、原材料メーカーからの試験結果など「合理的な根拠(その製品が安全基準を満たしていることを客観的に説明できる具体的なデータと管理体制)」があればOKです。
アパレル
燃焼性基準(FFA: Flammable Fabrics Act)の対象となる衣類が対象になります。
FFAは、衣料品や特定の家庭用繊維製品が、容易に燃え広がって着用者が重傷を負うのを防ぐために定められた米国連邦法です。
この基準は、生地が火に触れた際の「燃焼速度」を測定し、その速さに応じて製品を3つのクラスに分類されます。
・クラス1(通常燃焼性 / Normal Flammability)
火の広がりが比較的遅く、衣料品として使用が認められます。
ほとんどの衣類がここに該当します。
・クラス2(中間燃焼性 / Intermediate Flammability)
主に起毛生地(フリースやベロアなど)に適用される区分です。
注意が必要ですが、使用は可能です。
・クラス3(急速・激しい燃焼性 / Rapid and Intense Burning)
火が非常に速く燃え広がるため、衣料品としての販売が禁止されています。
すべての生地に試験が必要なわけではありません。
アメリカの燃焼性基準(16 CFR Part 1610)には、長年のデータから「これらは絶対に燃えにくい」と認められている免除規定があります。
以下のいずれかに当てはまる大人用アパレルは、CPSCの「執行裁量(Enforcement Discretion)」により、GCCの作成・提出が免除されます。

逆に、綿100%の薄いTシャツや、シルクのブラウスなどはGCC(または試験データ)が必要になる可能性が高くなります。
ポリエステル100%などの免除規定の商品ではない場合、まずは仕入れ先(メーカーや問屋)に「アメリカ輸出用に、この素材の16 CFR の試験データ(または燃焼性試験の結果)はありますか?」とメールなどで問い合わせをするのが、一番コストがかからないかと思います。
もし、仕入れ先から「そんなのないよ」と言われたり、返答がなかったりする場合は、日本国内の検査機関で見積もりを取るという方法を検討しましょう。
書類に記載すべき「7つの必須項目」
CPCとGCCのどちらも、役所が用意しているような「特定の決まった書式(指定の用紙)」はありません。
しかし、書類の中に含めなければならない「7つの必須項目」は法律(16 CFR Part 1110)で厳格に決まっています。
以下の項目を英語で記載する必要があります。
| 項目番号 | 記載内容(英語) | 詳細 |
| 1 | Product Identification | 製品名、モデル番号、SKUなど |
| 2 | CPSC Safety Rules | 準拠している規制コード(例:16 CFR Part 1610) |
| 3 | Importer/Manufacturer Info | 証明書を発行する米国の輸入者、または製造者の情報 |
| 4 | Contact Information | 試験結果を保管している担当者の連絡先(氏名、住所、メール |
| 5 | Date & Place of Manufacture | 製造年月と、製造された都市・国 |
| 6 | Date & Place of Testing | 試験が行われた日と場所 |
| 7 | Third-Party Lab Info | (CPCの場合) 試験を実施したCPSC認定ラボの名称・住所 |
メーカー問い合わせ
メーカーに問い合わせる際は、以下の2点を確認してください。
・試験報告書(Test Report): これが最も重要です。
これがないと、証明書を作る「合理的な根拠」がありません。
・証明書のドラフト(雛形): そのメーカーが既に米国へ輸出している場合、自分たちで使っているCPC/GCCのコピーを持っているはずです。
それをもらえれば、必要事項(16 CFRの番号など)を書き写すだけで済むので、作業が格段に楽になります。
まずはメーカーに、「米国輸出のために 16 CFR の試験データ(Test Report)をいただけますか?」と聞いてみてください。
それがあるかないかで、今後の手間が大きく変わります。
CPSC試験レポート依頼メールの例文
コピペして使えます。
[]内のみ入力すればOKです。
件名: Request for 16 CFR Compliance Test Reports for [注文時の名称など商品が特定できるもの] 本文: Dear [担当者名 (決まっていない場合:Sales Team)], I hope this email finds you well. We are currently preparing for the upcoming CPSC eFiling requirements in the United States. To ensure full compliance with U.S. safety regulations, we need the original Test Reports (not just a summary or draft certificate) for the following product: Product Name: [商品名:例 "Children's T-shirt"] Model Number: [型番:例 "SKU-12345"] Specifically, we require the test results showing compliance with 16 CFR [該当する番号:例 "1610"]. Could you please provide the latest Full Test Report as a PDF? This report must include: The name and address of the laboratory. The exact date and location of the test. The specific test results (Pass/Fail) for each regulation. We appreciate your cooperation in helping us meet these mandatory safety standards. We look forward to hearing from you soon. Best regards, [名前/ショップ名]
【日本語訳】
件名:[製品名] に関する 16 CFR 適合試験報告書提供のお願い
[担当者名 または 営業チーム] 様
お世話になっております。
現在、弊社では米国における新たな規制である「CPSC eFiling(電子申告)」義務化への対応準備を進めております。米国の安全基準に完全に準拠するため、以下の製品に関する試験報告書(Test Report)の原本(要約や証明書のドラフトではなく、詳細な報告書)が必要となります。
製品名: [製品名を入れる]
型番: [型番・SKUを入れる]
具体的には、16 CFR [該当する番号] への適合を示す試験結果を必要としております。
つきましては、最新のフル・テストレポート(PDF形式)をご提供いただけないでしょうか?
レポートには以下の項目が含まれている必要があります。
試験を実施した検査機関(ラボ)の名称と住所
試験が実施された正確な日付と場所
各規制に対する具体的な試験結果(合格/不合格)
これらの法的安全基準を満たすため、貴社のご協力をお願いしたく存じます。
お忙しいところ恐縮ですが、お返事をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。
[あなたの氏名 / 会社名・ショップ名]
返事が来たらチェックすること
メーカーから返信が来たら、以下を確認してください。
・Pass:合格という文字があるか
・Date of Report:試験日が1年以内であるか(古すぎると無効になる場合があります)。
・Product Matching:レポートに記載されている商品名や素材が、実際の仕入れ品と一致しているか。
・Lab Information:認定されたラボの名前と連絡先が明記されているか。
相手からの返信でよくあるパターン
メーカーから返信があった際、以下の言葉が含まれていたら注意してください。
・Attached is the COC (Certificate of Compliance)
→ 「証明書を添付しました」という意味ですが、これだけでは不十分です。
「この根拠となる Test Report も必要です」と再度伝えましょう。
Thank you for the draft. To comply with CPSC record-keeping requirements, could you also provide the original 'Test Report' that supports this certificate? (ドラフトをありがとう。CPSCの記録保管義務を果たすために、この証明書の根拠となる『試験報告書』の原本もいただけますか?)
もし「報告書は社外秘で見せられない」と言われた場合は、少なくとも「報告書番号(Report Number)」「試験日」「試験機関名」の3点は必ず共有してもらうようにしてください。
・The fabric is exempt
→ 「その素材は試験免除対象です」という意味です。
その場合は、なぜ免除なのか(例:ポリエステル100%だから等)を証明する資料を求めてください。
メーカーからもらったドラフトの内容が古かったり、転記ミスがあったりする場合、「虚偽申告」になってしまう恐れがあります。
注意してください。
自己宣言の責任
書類自体は自分で作れますが、万が一事故が起きた際や税関でチェックが入った際にすぐに試験レポートを提出できる状態にしておきましょう。
「メーカーに今から問い合わせます」では間に合わない可能性が高いです。
もしアメリカの税関やCPSCから「この証明書の内容が正しいという証拠を出してください」と言われた際、正しい試験報告書が出せなければ、その証明書は「根拠のない虚偽の書類」とみなされ、商品の没収や罰金の対象になるリスクがあります。
7つの必須項目をしっかり押さえましょう!
テンプレート
CPC/GCCが必要な商材を扱うことが多い場合は、上記の7項目を埋めた英語のテンプレート作っておくと作業の効率化がはかれます。
2026年7月からは、紙やPDFの提示だけでなく、このGCCに記載した内容を、eFilingシステムを通じて出荷前に電子送信することになります。
今から備えておきましょう。


